通常、給湯器はメーカーの設計標準使用期間である10年に1回のペースで交換することが多いです。交換費用を少しでも抑えるために、中古の給湯器を検討する方もいるでしょう。
中古の給湯器の購入を検討している方の中には、
「購入するときの注意点は?」
「新品と比べてどのくらいお得なのか?」
「取り付けは自分で行えるのか?」
などが気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、中古の給湯器を購入するにはいくつか注意点があり、見落とすと正常に給湯器が使えなくなるなど、不都合が発生する可能性があります。
そこで今回は、中古の給湯器を購入する際の注意点を解説し、実際に中古の給湯器を購入する方法もお伝えします。
この記事を読むことで、中古の給湯器について詳しくなり、給湯器を購入する際の選択肢を増やすことができるでしょう。
中古の給湯器を購入する際の注意点
中古の給湯器を購入する際には、いくつか注意点があります。ここでは中古の給湯器を購入する際の注意点をまとめたので、検討している方は必ず確認してください。
それでは詳しく解説します。
現行の給湯器と同じ「号数」を購入する
給湯器の能力を判断する規格として「号数」があります。「号数」は1分間に水温+25℃のお湯をどれだけ出すことができるかを表し、主に下記の3種類に分かれます。
①「16号」16ℓ/分、単身世帯におすすめ。
②「20号」20ℓ/分、2人家族位なら丁度いいです。
③「24号」24ℓ/分、4人以上のファミリー世帯ならこの号数です。
ちなみに「号数」を間違えても取り付けに直接影響はありません。しかし、例えば今まで24号を使用していたのに16号を選んだりすると、お湯が出るまでに時間がかかるなどの不便が生じる可能性があるので注意しましょう。
また、号数の変更を検討する場合は、ガスメーターに記載されている能力を確認しましょう。ガスメーターの能力が「6号」以上であれば24号でも適性に使用できます。
号数の確認方法
「号数」は給湯器に記載されている型番を見れば確認できます。
アルファベットの最初の数字が「号数」になります。例えば、リンナイのRUX−E2406Wの場合、最初の数字が「24」なので「24号」です。
追いだきが可能なのか確認する
追いだきができるかできないかで、購入する給湯器は変わります。
具体的には下記の種類に分かれます。
- 追いだき付きタイプ
- 暖房機能付きタイプ
- 給湯専用タイプ
それでは、順番に詳しく解説します。
①追いだき付きタイプ
内部の追いだき配管を通して、冷めたお湯を温め直して供給するタイプです。リモコンに「おいだき」のボタンがついていれば、基本的にこのタイプに該当します。
②暖房機能付きタイプ
標準の給湯器の機能に加えて、床暖房用のお湯を供給できるタイプです。機種によっては、風呂の追いだき機能がついていないタイプもあるので、検討する際にはよく確認する必要があります。
③給湯専用タイプ
純粋にお湯を供給するだけのタイプです。給湯専用タイプの中には「高温水供給タイプ」という、80℃の高温水を供給することで、追いだき感覚を体感できる機種もあります。
追いだき付きタイプと混同しやすいので、購入の際には注意しましょう。
室内リモコンがセットになっているかを確認する
基本的に給湯器を交換するときは、室内のリモコンも交換します。
なぜなら、リモコンも給湯器本体と同様に、モデルチェンジしているので、現行で使用しているリモコンでは、交換後の給湯器と連動しない可能性が高いです。
どうしても現行のリモコンを使用する場合は、リモコンの型番と検討している給湯器の型番を照らし合わせて、連動するかチェックする必要があります。
設置方式は同じなのか確認する
給湯器は設置する環境によって、購入するタイプが異なります。
具体的には下記のタイプに分かれます。
- 壁掛けタイプ
- 据置タイプ
- 浴槽隣接タイプ
- PS(パイプシャフト)タイプ
それでは、順番に詳しく解説します。
①壁掛けタイプ
戸建てなら外の壁、マンションならベランダの壁に固定して取り付けるタイプの給湯器です。特徴として給湯器の真下から配管が出ています。
②据え置きタイプ
戸建てに見られるタイプで、外の地べたに据置するタイプです。配管が側面から出ているタイプや、背面から出ているタイプもあります。
③浴槽隣接タイプ
据置タイプとよく似てますが、特徴は配管が2本出ている点です。お風呂の浴槽に穴が2つあれば、浴槽隣接タイプの可能性が高いです。
④PS(パイプシャフト)タイプ
マンション玄関横にあるPS(パイプシャフト)と呼ばれる場所に設置されているタイプです。
PSタイプにも、外から見えるか見えないか、排気の方法はどうなっているかなど、いくつか種類があるので、必ず現行品番を確認しましょう。
エコジョーズと通常の給湯器を比較してみる
エコジョーズは、通常の給湯器と比べて少ないガス量でお湯を沸かすことができる給湯器です。排気量とガス量を少なくできるので、月々のガス代が安くなるのがエコジョーズの魅力です。
例えば、4人家族で使用している場合は、年間で約1万円ほど節ガス効果が見込めます。
ただし、エコジョーズの給湯器を検討する際には以下の点に注意が必要です。
- 初期費用は通常の給湯器よりも高い
- ドレン排水管の工事が新たに必要になる
使用するガスの量や環境に応じて、エコジョーズがお得になるかどうか分かれます。エコジョーズを検討する際は、ガス代金のシミュレーションをしてみることをおすすめします。
給湯器の取り付けはガス業者に依頼すべき
DIYなどが得意な方は、取り付けも自身で行えばその分の費用が抑えられると考える方もいるでしょう。
しかし、給湯器の取り付け工事は、無資格の素人が行うと法律違反になるケースがあります。さらに、内容が複雑なため現場での経験が必須になります。
ここでは、給湯器の取り付けをガス業者に依頼すべき理由を詳しく説明します。
給湯器の取り付けには専門的な資格が必要
給湯器の取り付けにはいくつか専門的な資格の取得が必要です。では、具体的な資格の種類と特徴について解説します。
液化石油ガス設備士
LP(プロパン)ガスを使用するガス機器を工事する際に必要な国家資格です。試験が年に一回しか開催されないので、希少性の高い国家資格です。
ガス可とう管接続工事監督者
ガスホースの接続に必要な資格であり、都市ガス器具交換をする際に必要となる資格です。講習を受講すれば取得できます。
ガス消費機器設置工事監督者
ガス湯沸かし器や、ガスふろがまなどの「特定ガス消費機器」の取り付け工事の際に必要となる資格です。講習を受講すれば取得が可能です。
ちなみに液化石油ガス設備士の資格があれば、ガス消費機器設置工事監督者の施工範囲を網羅できるので、取得が不要です。
給湯器交換・設置に必要な資格は、以下の記事で詳しく説明しています。
ガス給湯器は「ガス・水・電気」の要素をもった設備機器であり、様々な法律や基準が関連してきます。そして設置や交換工事には、様々な国家資格や業界資格が必要となってきます。しかし、中には無資格で工事を行う業者も少なからず存在しており、事故[…]
給湯器の工事は経験が求められる
大前提として、給湯器の工事は複雑なので危険が伴います。上記の資格を所持し、現場での経験を積み重ねなければ、実際に工事するのは難しいでしょう。
実際、ベテランのガス業者でも、給湯器の交換をするのに3~4時間を費やします。それだけ給湯器の取付・交換工事は、慎重にやる必要があります。
よって、中古の給湯器を購入しても、取り付けはベテランのガス業者に依頼するようにしましょう。
中古の給湯器を購入するメリット
それでは、中古の給湯器を購入するメリットを解説します。
メリットを知ることにより、新品を購入するか迷ったときの判断材料になるので、しっかりチェックしましょう。
新品を購入するよりも安く手に入れることができる
正規価格よりも安く手に入れることは、中古給湯器を購入する一番のメリットです。
最近では、オンラインショップの他、フリマアプリなどの出現によって、中古給湯器市場の供給が増加傾向にあり、より安い給湯器を買いやすい環境になりました。
さらに、地域の情報掲示板として有名なジモティーなどのコミュニティツールもあります。うまく利用すれば、格安どころか無料で手に入るケースもあります。
このように、中古は新品を購入するより価格面でお得になると言えるでしょう。
物によっては新品と変わらないこともある
ひとえに中古品と言っても、物によって商品状態は異なります。数回しか使用していない商品もあれば、かなり年季の入っている給湯器もあるからです。
供給数は増えているので、状態と価格を照らし合わせて、掘り出し物を探していくと良いでしょう。
中古の給湯器を購入するデメリット
中古の給湯器は一度は人の手に渡っている物なので、見えないリスクが隠れている場合があります。ここでは買ってから後悔するようなことを避けるために、あらかじめ認識しておくべき点について解説します。
すぐに壊れることがある
大前提として、中古の給湯器はいつ壊れるかわかりません。
物によっては長持ちしますが、基本的に給湯器の寿命はメーカーの設計標準使用期間である約10年が目安です。
ガス給湯器にも寿命があります。徐々に調子が悪くなっていく場合もあれば、ある日突然動かなくなる場合もあり、交換する時期も各世帯でバラバラです。この記事をご覧になっている方の中には「ガス給湯器の寿命年数は本当に10年なのか?」[…]
そのため、寿命に近すぎる商品を選ぶと、取り付けてもすぐ壊れる可能性もあります。
なので、中古の給湯器を購入する際には必ず使用年数をチェックし、出品者に直接聞くなどして直近の給湯器の作動具合なども確認しましょう。
保証が受けられない
中古の給湯器は製品トラブルが発生したとき、メーカーはもちろん、施工した業者も基本的には対応してくれません。
中古の給湯器を買うことは、自己責任でもあります。いつ壊れても修理が自腹になること、つまり保証は一切受けられない旨を念頭におきましょう。
中古の給湯器を購入、入手する手段
中古の給湯器を購入する方法は多数あります。ここでは、インターネットを利用した販売方法を中心に詳しく解説します。
各オンラインサービスで購入する
中古の給湯器を購入できるオンラインサービスは多数あります。ここでは、中古の給湯器を購入できるサイトの一例を紹介します。
楽天市場で購入する
楽天市場ではリサイクルショップはじめ、多くの店舗が中古の給湯器を販売しています。
店舗によって、出しているメーカーなど違いがあるので、色んな店舗を比較検討しながら回遊するのをおすすめします。
ただし、使用年数など給湯器の状態は必ずチェックしましょう。安い商品を見つけても、使用年数が相当経過している場合もあるので要注意です。
メルカリで購入する
メルカリなどのフリマアプリでも、給湯器は出品されており、お手ごろな値段で購入できる機種もあります。
ただ、メルカリの特徴として一般人が出品しているケースも多いです。トラブル回避のため、機種の説明等に誤りがないか、評価が高く信頼ができる相手かという点も含めて検討しましょう。
オークションで落札する
中古の給湯器はヤフオクなどのオークションに出品されている場合もあります。自分の欲しい型番の給湯器が見つけたら、入札に参加するのも一つの手です。
もしかしたら想像以上に安い値段で落札できるかもしれません。
ジモティーで受け取りする
ジモティーは格安で欲しい物が手に入る、地域別の情報掲示板です。
受け取る場所など条件は多いですが、条件さえ揃えばお得に中古給湯器を手に入れることができます。無料で譲ってもらえる可能性もあるので、検討材料に加えると良いでしょう。
ただ、待ち合わせの場所に人がこないなど、トラブルケースも散見します。物のチェックと同様、相手の評価も確認しましょう。
まとめ
以上、中古の給湯器を購入する際の注意点と、購入方法について紹介しました。
給湯器は頻繁に交換するものではないので、価格を安く抑えたいと思うのはごく自然な考え方です。しかし、費用を抑えても交換した給湯器がすぐ壊れるような事態は本末転倒です。
買ってから後悔しないために。中古の給湯器を購入する際には、今回紹介した注意点やデメリットを理解した上で購入しましょう。