給湯器にはお湯を沸かす用途のほかに、床暖房や浴室暖房乾燥機が使用できる「床暖房付き給湯器」があります。床暖房付き給湯器も通常の給湯器と同様、メーカーの設計標準使用期間である10年を目安に交換するのが理想です。
床暖房付き給湯器の交換を検討している方の中には、
「床暖房付き給湯器の特徴や種類はどのようなものがあるのか?」
「どういったタイプを選ぶのがお得なのか?」
「交換するガス業者を選ぶポイントは?」
などが気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、床暖房付き給湯器の交換するときは特徴や種類を理解した上で、正しい方法で業者に依頼することが大切です。そこで今回は、床暖房付き給湯器の特徴と種類を述べながら、お得に交換する方法についても解説します。
この記事を読むことで、床暖房付き給湯器について詳しくなり、お得に交換する方法を知ることができるでしょう。なお、交換時期の目安については、以下の記事で詳しく説明しています。
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目次
床暖房付き給湯器について
床暖房付き給湯器の正式名称は「給湯暖房付熱源機」と言います。お湯を沸かす機能のほか、床暖房や浴室暖房乾燥機を使用するための機能があります。ちなみに、床暖房付き給湯器は床に張った配管にお湯を流し、部屋全体を温める仕組みです。
なお、床暖房の方式には「電気式」と「ガス式」の2種類ありますが、今回取り上げるのは「ガス式」です。つまり、床暖房付き給湯器に関する解説となります。
床暖房付き給湯器の選び方
床暖房付き給湯器を検討するとき、型番で探そうとすると分かりにくいです。そのため、ここではどの機種の床暖房付き給湯器を選べば良いのか、選び方について解説します。
既存の給湯器から判別する
床暖房付き給湯器を選ぶときには、以下の2つの要素があります。
- 1温度と2温度
- 系統
床暖房付き給湯器を選ぶときの重要な要素なので、順番に解説します。
1温度と2温度
1温度と2温度は、それぞれ床暖房付き給湯器の区分を指します。1温度は浴室暖房乾燥機のみ対応しており、80度のお湯を作ることしかできません。
2温度は1つ以上の床暖房にも対応可能で、60度と80度の両方の温度でお湯を作ることができます。つまり、床暖房を1部屋でも使用しているなら、2温度区分の給湯器が該当します。ちなみに、「1温度」のことを「高温」、「2温度」のことを「低温」と呼ぶこともあります。
系統
系統は床暖房の数を指します。1系統は床暖房1部屋分に相当します。つまり、床暖房を使用する部屋が増えると、系統の数も増えていきます。
系統の数は、基本的に現状使用している給湯器と同じ数にしますが、将来的に床暖房の部屋を増やす予定なら、今より系統数の多い給湯器にすることも可能です。ただし、系統数が多くなると給湯器本体の金額も高くなります。そのため、いつのタイミングで床暖房を増やすかも踏まえて検討しましょう。
型番から判別する
温度と系統の仕組みが理解ができたら、既存品の型番を確認しましょう。ここでは、床暖房付き給湯器を販売する代表的なメーカーを例に、型番の見方を解説します。現在使用している給湯器と照らし合わせてみてください。
リンナイ
リンナイの代表的な型番を例に説明します。
・RUFH-E2406AW2−1
給湯器の型番が「RUFH」か「RVD」で始まる場合はリンナイ製です。両者の違いはサイズで、「RVD」はコンパクトタイプです。
「E」はエコジョーズタイプを指し、「2406」の「24」は給湯器の号数、「06」は開発番号です。
「A」はフルオートタイプ機能のことです。「SA(セミオート)」になるとオートタイプを指します。
「W」は壁掛けタイプ、そして最後の「2−1」が温度と系統を指し、ここでは2温度タイプの1系統であることを表しています。
つまり、上記型番の給湯器は、リンナイ製エコジョーズの24号フルオートタイプ、2温度1系統の給湯器です。
ノーリツ
ノーリツの代表的な型番を例に説明します。
・GTH -C2461AW3H-1BL
給湯器の型番が「GTH」で始まる場合はノーリツ製であることを指します。
「C」はエコジョーズタイプを指し、「2461」の「24」は給湯器の号数、「61」はシリーズ名です。
「A」はフルオートタイプ機能のことで、「SA(セミオート)」になるとオートタイプを指します。
「W」は壁掛けタイプ、そして最後の「3H」が温度と系統を指し、2温度の3系統であることを表しています。
最後の「BL」はBL認定品のことを指し、優良住宅部品の認定を受けた商品という表示です。つまり、この型番の給湯器は、ノーリツ製エコジョーズの24号フルオートタイプ、2温度3系統の給湯器です。
その他のメーカーを使用している場合
自分が使用している給湯器の型番をチェックし、検索サイトで探しましょう。給湯器の型番は、給湯器本体に必ず明記されています。
使用している給湯器の型番を調べて下記サイトで検索すると、給湯器の詳細情報がわかるので便利です。
新規で暖房付き給湯器を取り付ける場合
新規で床暖房付き給湯器を取り付けるには、床自体のリフォームをする必要があります。床に直接配管を貼るか、全面張り替えするかで費用が変わりますが、通常10万円前後かかることが多いです。
また、床の張り替えのほかにも、新規の床暖房付き給湯器の設置費用が必要です。新規取り付けのときには、全体の費用感を知るためにも、まずはガス業者やリフォーム業者に相談しましょう。
床暖房付き給湯器の種類
床暖房付き給湯器の機能を比較するときは、主に以下の4つを比べます。
- スタンダードタイプ
- エコジョーズタイプ
- エコキュートタイプ
- エコファームタイプ
結論を先にお伝えすると、床暖房付き給湯器はエコジョーズタイプが一番おすすめです。ここでは各タイプの特徴を述べながら、エコジョーズがおすすめな理由を解説します。
スタンダードタイプ
スタンダードタイプはいわゆる普通の床暖房付き給湯器で、非エコジョーズタイプとも呼ばれてます。
以前のスタンダードタイプは、本体価格がエコジョーズよりも安く金額差がありましたが、最近の金額差は1万円程度です。しかも、エコジョーズは年間のガス料金が1万円前後安くなるので、本体価格の金額差はすぐに回収できます。
そのため、床暖房付き給湯器は年間のガス料金が安いエコジョーズをおすすめします。
エコジョーズタイプ
エコジョーズは、外見は普通の給湯器と変わりませんが、排気熱を有効利用するという特徴があります。普通の給湯器は、お湯を作るときに高温の排気熱を排出します。エコジョーズはその排気熱も利用するので、従来の給湯器よりも効率良くお湯を作ることができます。
つまり、エネルギーを無駄にしないでお湯を作るから、その分ガス料金がお得になります。ちなみに数値で表すと、年間のガス料金が約15%減る計算です。
また、床暖房付き給湯器のエコジョーズタイプは、本体の価格も25〜30万円前後なので、ほかの省エネ製品よりも安く手に入ります。本体価格も比較的お手頃で、年間のガス料金が安くなるので、床暖房付き給湯器はエコジョーズにするのがおすすめです。
エコキュートタイプ
エコキュートは動力が電気でガスを一切使いません。ガスを使わないことで、二酸化炭素の発生を抑えた環境に優しい設計です。また動力となる電気も、料金が安くなる深夜電力を使用しているのが魅力的です。
また、エコキュートはお湯をタンクに貯めるタイプなので、災害時などにお湯が使えるのも魅力の一つですが、販売価格が60万円前後と少し高めです。エコキュートは自治体によっては補助金も出るので、制度の利用を視野に入れながら導入を検討すると良いでしょう。
参考:みずほ住設|エコキュートの補助金制度をお探しの方へ【2020年12月最新版】
しかし、床暖房が中心ならエコジョーズの方がコストを抑えられるので、エコジョーズにするのが無難と言えます。
エネファームタイプ
エネファームはいわゆる家庭用燃料電池であり、家全体のエネルギーを生成するのが特徴です。エネファームは、太陽光発電の約2〜2.5倍の発電効率を誇り、発電のときに発した熱を給湯に使用することで無駄なくエネルギーを利用できます。
しかし、性能が高い反面で初期費用が200万円前後かかります。エネファームは発電に特化した製品なので、床暖房を中心に考えるならエコジョーズにする方が良いでしょう。
床暖房付き給湯器のメリット・デメリット
ここではメリット・デメリットを解説するので、床暖房付き給湯器を選ぶときの判断材料にしてください。ほかの暖房器具と比較しながら解説します。
床暖房付き給湯器のメリット
メリットは具体的に以下の通りです。
- 部屋全体が暖かくなる
- エアコンのメンテナンスの手間が省ける
- 健康面にも好影響
順番に解説します。
メリット①部屋全体が暖かくなる
床暖房付き給湯器は部屋全体が暖まる3つの要素を兼ね備えており「ふく射」「伝導」「対流」に分かれます。
「ふく射」は遠赤外線を飛ばし、壁や天井に反射させて部屋全体を暖めます。「伝導」は足元を中心に暖め、暖気が天井に滞留しないようにします。「対流」は冷たい空気を床で暖め、全体に循環させることで自然な空気の流れを作ります。
これらの3つの要素が重なることで、床暖房付き給湯器は効率よく部屋全体を暖かくすることができます。部屋の気温が暖かく保たれるので、特に家族全員が集まるリビングには床暖房がおすすめです。
メリット②エアコンのメンテナンスの手間が省ける
床暖房を使えば、部屋全体を暖められるので、基本的に冬場はエアコンが必要ありません。つまり、フィルター清掃などのメンテンナンスの手間が省けます。メンテナンスを考えずに使用できると、楽することができるのでメリットと言えるでしょう。
メリット③健康面にも好影響
床暖房がエアコンと違って風を使わないので、ホコリが舞わずに空気がきれいになります。また、風を使わない分乾燥しにくいので、肌や喉にもやさしいのが魅力的です。床暖房付き給湯器にすれば、上記のように健康面でいろいろなメリットがあります。
床暖房付き給湯器のデメリット
デメリットは具体的に以下の通りです。
- 初期費用が高い
- ガス代が高くなる
- 暖まるまでに時間がかかる
順番に解説します。
デメリット①初期費用が発生する
床暖房付き給湯器は、床下の配管を設置する工事が必要になり、通常10万円前後かかります。すでに使用している方でも、床暖房できる部屋を追加する場合は同様の工事が必要です。通常の設置費用のほかにも、初期費用が発生するのはデメリットと言えるでしょう。
デメリット②ガス料金が高くなる
床暖房付き給湯器は、床暖房や浴室暖房乾燥機にも温水を供給するため、その分ガス料金が高くなります。エアコンを使わない分、相対的に光熱費は安くなりますが、ガス料金の比重が大きいです。そのため、床暖房付き給湯器は年間のガス料金がお得なエコジョーズを選択しましょう。
デメリット③暖まるまでに時間がかかる
床暖房付き給湯器のデメリットとして、暖まるまでに1時間程度かかることが挙げられます。基本的にはどのメーカーもタイマー機能があるので、朝使う場合は起きる1時間前に作動するように設定しましょう。
床暖房付き給湯器をお得に交換する方法
すでに床暖房付き給湯器が付いていることを前提に話しますが、おすすめはネット系業者で複数見積りを取ることです。順番に解説します。
ネット系業者複数社に見積もりを依頼する
給湯器の交換を行っているネット系業者に見積りを依頼します。ネット業者は運営コストを抑えている為、東京ガスなどの大手ガス業者よりも金額が安くなるのでおすすめです。
また、依頼するときは必ず複数社からとって、比較検討しましょう。比較することで、業者ごとの得意な分野が見えてきます。
キンライサー
キンライサーは顧客満足度95%を誇ります。24時間365日対応可能な上、スピーディーに対応してくれるので、急な故障にも安心して任せられるのが魅力です。
給湯器の本体価格も最大82%引きなので、検討の際には候補に加えたい業者です。
エスゲージー株式会社
エスゲージーは50年続く給湯器取り付けのベテラン業者です。値引率の高さも魅力ですが、工事に満足できない場合は工事代金がかからないなど、工事に対しての自信がある業者なので、安心して任せることができます。
営業エリアが関東に限定されますが、関東にお住まいであれば、選択肢の一つとしておすすめの業者です。
相見積もりの結果をもとに交渉してみる
複数社見積りを取ったら、金額交渉しましょう。
ネット系業者の中には、他社よりも金額が高い場合は教えてください!と価格対抗の意思が強い業者も多いです。複数社から見積りを取ったら、見積書を基にガンガン交渉しましょう。思わぬ値引きにつながるかもしれません。
また、近所のホームセンターなど、販売店に直接交渉する方法もあります。直接交渉する場合は、一切値引きしないスタンスの販売店もあるので、行く前に電話で値段交渉が可能か確認しましょう。
【まとめ】複数社の見積りを比較して、床暖房付き給湯器をお得に交換しよう
以上、床暖房付き給湯器の特徴とお得に交換する方法を解説しました。床暖房付き給湯器を交換するときには、まずは複数業者に見積りを依頼しましょう。
自分がひいきにしているガス業者に依頼するのも良いですが、市場の費用感を知ることも大切です。なぜなら、ネット販売が主流になって各社の競争が激化し、以前よりも給湯器の交換費用が全体的に下がっています。
そのため、床暖房付き給湯器を交換するときには必ず複数社に見積りを依頼してください。その上で、自分が納得できる業者に交換を依頼しましょう。